はじめに
本記事では、モデルパラメータは一定なので、依存性は明記しません。
本記事は、フォワード-バックワードアルゴリズム(α-βアルゴリズム)の続きの記事です。
-アルゴリズムの数値計算時の問題点
の再帰式は以下でした。
再帰式を見ると、お各々のステップの新しい値は、直前の値にとを掛けることにより得られます。
これらの確率は、しばしばに比べてとても小さく、鎖に沿って前向きに進んでいくにつれて、
の値は指数的な速さでゼロに近づいていく可能性が高いです。
そこで、とにスケーリングを施し、それらの値がのオーダーに留まるようにします。
スケーリング -
正規化されたの定義は以下で与えられます。
式が正規化されているか確認します。
式より、式が正規化されていることが確認できました。式の値は数値計算において良い振る舞いをすることが期待できます。
なぜなら、どのの値に対しても個の変数上の確率分布だからです。
スケーリングを施した変数と、もともとの変数とを関係づけるために、
観測変数上の条件付き分布によって定義されるスケーリング係数を導入します。
確率の乗法定理より、以下の式が成り立ちます。
式が成り立つことを帰納法で示します。
の時、
の時、式が成り立つとすると、以下の式が成り立ちます。を計算します。式より、の時、式が成り立ちます。
以上より、式が成り立つことが分かります。
との関係式を導きます。
の再帰式は以下の式でした。
式を式に代入して、の再帰式を得ます。
ここで、の計算に用いた前向きのメッセージパッシングの各段階で、
を計算し、記憶しておかなければならないことに注意が必要です。
このはの計算において、式の右辺を正規化する係数なので、以下のように求められると思います。
一時的な変数として、をの時の式の右辺の分子として、定義します。
式だとは計算できますが、は計算できない(?)ので、以下のようにすればよいと思います。
式より、
は正規化されているので、と求まります。
スケーリング -
同様に、スケーリングを施した変数を以下のように定義することができます。
確率の乗法定理より、以下の式が成り立ちます。
式が成り立つことを帰納法で示します。
の時、
の時、式が成り立つとすると、以下の式が成り立ちます。を計算します。式より、の時、式が成り立ちます。
以上より、式が成り立つことが分かります。
式より、との関係式は次のように書くこともできます。
式より、は単につの条件付き確率の比であるから、計算機の精度内に収まります。※の時と異なり、正規化されていない(正規化されていることを確認していない)ことに注意しましょう。
の再帰式は、以下でした。
式を式に代入して、の再帰式を得ます。
尤度関数
尤度関数は、式よりスケーリング係数を利用して、以下のように書けます。
最後に
本記事は、私自身で導いた式もいくつか(式~)あるので、注意してお読みください。
偉人の名言
背伸びして視野をひろげているうち、
背が伸びてしまうこともあり得る。
それが人生の面白さである。
城山三郎
動画
なし